炬火を運ぶ第2走者の渡辺さん、広澤さん、赤羽さん(前列左から)=1日午後3時10分

最終走者の広田さん(左)と遠藤さんによって点火された炬火台=1日午後3時10分、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ

炬火を運ぶ第2走者の渡辺さん、広澤さん、赤羽さん(前列左から)=1日午後3時10分 最終走者の広田さん(左)と遠藤さんによって点火された炬火台=1日午後3時10分、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ

 3年ぶり開催の国体が1日、本県で華々しく幕を開けた。総合開会式の見せ場・炬火(きょか)リレーで最初に登場したのは、42年前の「栃の葉国体」で活躍した選手たち。県内全25市町から集められた大会のシンボル「いちご一会とちぎの火」は、本県ゆかりの著名アスリートへ引き継がれ、最後に未来を担う少年選手2人の手で点火された。式典では、子どもたちからプロスポーツ関係者まで総勢約1400人が一体感のある演技やダンスを披露し、本県の魅力を全身で表現した。

      ◇      ◇

 五輪の聖火に当たる「炬火(きょか)」を3組7人の走者がリレーした。

 第1走者を担ったのは往年の名選手たち。ロサンゼルス五輪の重量挙げで銅メダルの砂岡良治(いさおかりょうじ)さん(60)=栃木市出身=と、陸上短距離60メートル、100メートルの元日本記録保持者小西恵美子(こにしえみこ)さん(70)=那須烏山市出身=だ。1980年の栃の葉国体に出場した2人は、出場選手への思いを込めて力走。後半、トーチの火が消えかかるハプニングもあったが、第1、2走者で火を分け合った。

 次走はプロ野球で強打者として名をはせた小山高出身の広澤克実(ひろさわかつみ)さん(60)と、同じく投手として活躍した渡辺俊介(わたなべしゅんすけ)さん(46)=栃木市出身、陸上長距離で北京五輪などに出場した赤羽有紀子(あかばゆきこ)さん(42)=芳賀町出身。本県の著名アスリート3人の走りに、万雷の拍手が送られた。

 最後は今大会に出場するバドミントンの遠藤美羽(えんどうみはね)(17)=作新学院高=と、馬術の広田大和(ひろたやまと)(17)=黒磯高。同じ2年生で本県の未来を担う“金の卵”だ。東日本大震災時に崩れた塀などの大谷石を再利用したイチゴ型の炬火台の両脇に立ち、トーチをかざした。

 午後3時9分。全25市町から集められた「いちご一会とちぎの火」が環境配慮型LPガスなどの燃料で立ち上った。「今、すごい経験をしているんだ」と実感したという広田。遠藤は「自分たちが火を付け、大会が始まった。ここから集中していかなきゃ」と競技本番を見据えた。

 郷土への思い、スポーツに懸ける情熱を投影した炎が、来場した1万1千人超の表情を照らした。

 小西さんは「私は国体で納得いく結果を出せなかったが、それがあって走り続けられた。飛躍の機会にしてほしい」と選手に熱いエールを送った。