太平洋戦争末期の沖縄県知事島田叡(しまだあきら)や警察部長荒井退造(あらいたいぞう)(宇都宮市出身)らを描いた映画「島守の塔」の2カ月半に及ぶ県内上映が終了した。夏に沖縄で2人について取材した。現地でこそ分かることは多かった。
「沖縄では島守として広く慕われているが、県内では無名」。本県ではそんな語られ方もあった。実際は、今や沖縄でも若者ら多くが2人を知らない。逆に言えば、本県で荒井を語り継いでいかない限り、確実に忘却へと向かう。
映画の公開や2人の顕彰に、沖縄では根強い批判があることも知った。軍に協力して住民に犠牲を強いた戦争責任者が英雄視されている-といった主張だ。
半面、住民の避難誘導などに尽力した島田、荒井の行動や生きざまを敬い、尊び、思いを継ぐ人たちが沖縄にいて、島田の古里兵庫でも顕彰は脈々と続いている。神戸市長は尊敬する人物に島田を挙げている。
本県の教育現場で2人を扱ってほしい。是という人がいる。非という人もいる。あなたはどう考える。誰もが認めるリーダーではないからこそ、沖縄戦を知る貴重な教材になると思う。