肩をたたかれ振り向くと、笑みを浮かべた中年男性が告げた。「私たちは陰で頑張りますから」。10年以上前の話と前置きした上で、本県の自民党議員の選挙での出来事を関係者が振り返る。「無償で動いてくれる彼らはありがたい存在だった」。
「彼ら」とは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者のこと。数人で泊まりがけでやって来てポスティングなどを手伝ったという。
安倍元首相の襲撃事件をきっかけに明らかになった政治と旧統一教会との関係。本紙調査では国会議員10人のうち2人、県議は44人中12人、首長は9人が関連団体の行事出席や祝電などの接点があったと回答した。霊感商法などの問題は広く知られたはずだが、これほどにも深く根を張っていたのかと驚いた。
人により濃淡の差はあれ、持ちつ持たれつの関係があったのだろう。ただ政治家だけの問題と片付けられない。1人でも多くが投票すれば組織票の影響は弱まる。国政、地方選で続く低投票率は旧統一教会の浸透を許す理由にならなかったか。私たち有権者の選挙への向き合い方も考えたい。