栃木県佐野市の金子裕(かねこゆたか)市長は30日の定例記者会見で、小中高校生が1回100円で市生活路線バスを利用できる「ワンコインバス」を年内に始めると発表した。市の五つの路線バスと四つのデマンド交通が対象。市によると児童生徒が100円で乗車できる市営バスは県内初。市民生活課は「若い世代が公共交通を気軽に利用できる機会を増やし、大人になっても継続的に利用してほしい」としている。
同課によると、2021年度の市生活路線バス利用者は約12万人。その半数以上が高齢者で、小中高校生の利用は約3割だった。これを踏まえ、市は若い世代の利用者を増やす施策を打ち出した。
路線バスは主に市中心部をカバーしており、一部は足利市に乗り入れている。運賃は通常、小学生が150円、中高生は310円。これを一律、1回100円とする。郊外地域をカバーし、予約が必要なデマンド交通も同様の運賃とする。市外の児童生徒も対象。
利用の際は学生証や生徒手帳を運転手に提示する。小学生は申告制。Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)など交通系ICカードも使える。
100円とする期間は、冬休みに合わせた16日から来年1月10日までの計26日間。その後も春休み、夏休み期間に適用するなど継続的に実施していく。
事業費は、本年度予算に計上した生活路線バス運行支援事業費の1億5427万円を充てる。毛塚敏夫(けづかとしお)市民生活部長は「多くの人に利用してもらい、公共交通を身近に感じてほしい」と話す。
また市は、交通系ICカードで決済すると、市生活路線バス1日乗車券が約1割引きとなる「キャッシュレス1日乗車券」の販売を今月16日に始める。