那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた男性教諭3人の第2回公判が20日、宇都宮地裁(瀧岡俊文(たきおかとしふみ)裁判長)で開かれた。弁護側は冒頭陳述で事故当時について「安全な訓練区域を定めており、過失はなかった」などと述べ、3教諭の判断と雪崩事故発生との因果関係を改めて否定した。
在宅起訴されたのは、当時の県高校体育連盟(高体連)の登山専門部専門委員長だった男性教諭(56)、副委員長で犠牲者8人がいた班を引率していた男性教諭(54)、後続の班を引率していた男性教諭(59)。
3被告は初公判で、事故発生までの経過をおおむね認めたが、雪崩発生の予見可能性は否定した。弁護側は、3被告の行動と8人の死亡との間に因果関係はないとして無罪を主張した。第2回公判では弁護側が冒頭陳述を行い、無罪主張の根拠などを説明した。
起訴状は、17年3月27日朝、雪崩事故発生が容易に予想されたのに、情報収集や安全な訓練区域の設定を行わず、那須町湯本のスキー場周辺で漫然と深雪歩行訓練を行い、雪崩で8人を死亡させ、生徒5人にけがをさせた、としている。
班を引率した2被告については、訓練中にそれぞれ雪崩発生が予想される斜面を認識したのに、生徒に訓練中止を指示するなどしなかった、ともしている。