◆歴史も湯量も圧巻 北温泉(那須)
「県北は有名な温泉がたくさんあるけどね、ここは映画『テルマエロマエ』のロケ地なんだよ」と、泉浦が山奥の駐車場に車を止める。もうこの先は車は通れず、散歩で坂道を下って400メートル。縦横15メートル×10メートルの湯量たっぷりの温泉プールと、タイムスリップしたような木造3階建の「北温泉」旅館が現れた。
男湯と女湯で違った温泉を楽しめるので、二手に分かれて堪能した後、水着を着て名物の温泉プールで合流した。

松「何この大きさと静けさ!」
泉「プールの底がこけむしてて、油断すると滑って転びそうだけど、コケの温かみが足の裏に伝わってきて気持ち“いいね”!」
松「さっき入った女子用の『芽の湯』も、鉄の香りがしてぬるめで気持ちよかったよ」
泉「俺は『打たせ湯』が良かったな。勢いが強くて、滝行みたいで。あと『天狗(てんぐ)の湯』も。大きな天狗のお面に見られてるようで、少し恥ずかしかったけど」

松「女湯と全然違うね!そもそも、なんで天狗?」
泉「1250年前に、天狗がこの温泉を見つけたんだって」
一番古い建物は、築約180年。江戸時代の客と同じ部屋に泊まれるわけだ。

代表取締役の娘・熊谷恵蓮(くまがいえれん)さんは、にっこり言う。「“ボロ宿”を、褒め言葉で使っていただけるんです」
この昔ながらの雰囲気を求めて、常連客や秘湯マニア、さらには海外の人も、今日も秘境にやって来る。
散歩を終えて
新鮮な栃木再発見
県外在住の私にとっては、今回の散歩はとても新鮮な栃木再発見でした。県南の福寿荘は「名水で湯上がりも食後も満足賞」、県央の宝湯は「これからも市民のために賞」、県北の北温泉は「天狗さん見つけてくれて感謝賞」です、心から。
また入りに行こうっと! あなたの地元で自慢のお湯は、どこですか?
(松島翠=写真手前)
