剛腕を生かし、巨人女子チームで日本一を目指す澤田=都内

剛腕を生かし、巨人女子チームで日本一を目指す澤田=都内

剛腕を生かし、巨人女子チームで日本一を目指す澤田=都内 剛腕を生かし、巨人女子チームで日本一を目指す澤田=都内

 今季から本格始動する巨人の女子クラブチームに、作新学院高女子野球部3年の澤田百華(さわだももか)(18)が入団した。最速126キロを誇る女子屈指の右腕。同校の偉大な先輩、江川卓(えがわすぐる)さんが巨人時代に付けた背番号と同じ「30」を背負う。「1イニングだけでも、試合ではしっかり抑えてチームに貢献したい」と決意を語った。

 野球を始めたのは小学2年。軟式の清原中央ジャイアンツに入り、当時から「プロとか上のレベルでやりたい」と思いを抱いた。2021年、日本女子プロ野球リーグが無期限休止となり進路を迷っていたが、作新学院高の田代恭規(たしろやすのり)監督の勧めもあり昨年、巨人の選考を受けた。

 チームは21年12月発足。1期生4人に加え、翌年に動画審査と実技試験を突破した澤田ら16人が入団した。高校生は8人で「1番年下の世代。盛り上げるのも役割」と練習から声を張り上げ、宮本和知(みやもとかずとも)監督も「ムードメーカー」と姿勢を評価している。

 「怪物」と呼ばれた江川さんと同じ背番号は球団から提示された。「友達にすごいと言われた。重みとうれしさを感じる」。武器は169センチから繰り出す直球。目標球速には130キロを掲げる。

 選手の傍ら、幼児や小学生を指導する巨人のアカデミーでコーチを務める。「みんなが目指したくなるチームにしていきたい」と女子野球界をけん引する存在としての自覚も強めた。

 清原中時代は硬式の栃木ボーイズなどで男子に交じりプレー。当時から球速は120キロ近くに及んだ。県外の強豪校からも声がかかったが、地元の作新学院高に進んだ。

 高校では「エースとして結果が残せなかった」。3年春の全国選抜大会は準優勝した神戸弘陵(兵庫)と初戦で当たり敗退。夏の選手権も初戦で花巻東(岩手)に敗れた。悔しい経験が多い一方で「仲間に恵まれ、思いやりを持ってるようになった」と人間性が成長した3年間を振り返る。

 昨年11月には米大リーグで活躍したイチローさんが率いるチーム「KOBE CHIBEN」との試合に高校女子選抜の一員として参加。東京ドームのマウンドで120キロ超の球を投じた。イチローさんと直接対決はなかったが、試合後に「良いボールだね」と言葉をもらい、自信を深めた。

 今季はアマチュア最高峰の女子リーグ「ヴィーナスリーグ」や全日本選手権などに参戦し日本一を目指す。「高いレベルの中で自分も成長したい」と力を込めた。