十割天もりそば

中原利敬さん

十割天もりそば 中原利敬さん

 一口かんだだけで十分に感じられる強い歯応えの「十割天もりそば」。店で一番人気なのも納得する一品だ。

 「那須手打ち蕎麦倶楽部(そばくらぶ)」会長で店主の中原利敬(なかはらとしたか)さん(65)が「『ひいた』というより『たたきつぶした』」と例えるほどの粗いそば粉で、「つなぎ」を使わず製麺する。熱湯でこね、のして切るこだわりもある。作業は慎重さが求められるため量産はできず、1日15食程度の限定という。

 天ぷらの独創性も豊か。国産の朝鮮ニンジン、リンゴ、トウモロコシなど、他店ではあまり見られないラインアップを楽しめる。

 同倶楽部は2006年の発足以降、イベントや福祉施設などでそばを振る舞ってきた。新型コロナウイルス禍でその機会を失っている中、多くの人にそばを提供する機会を設けようと、昨年9月に会員の後押しを受けて開店した。共同店主の印南みや子(いんなみみやこ)副会長(84)と店を営み、会員が店員として協力している。知る人ぞ知るこの味を求め、隣県から訪れるリピーターも多い。

 中原さんは「今まで食べたことないそばのおいしさに驚いてもらうのが楽しい」と笑顔で会員とそばを作り続ける。

 ▼メモ 十割天もりそばは2千円▽那須町湯本370の7▽営業時間 午前10時半~午後3時▽定休日 火(毎週)、水曜(月2回)▽(問)0287・74・6821。