大声を張り上げて選手を鼓舞する作新応援団。手前左は青木応援部長=19日午後、甲子園

 マスクなしの声出し応援が4年ぶりに認められた「第95回選抜高校野球大会」。作新学院のアルプススタンドでもこの時を待ちわびた応援団がこれでもかと声を張り上げ、懸命の応援で選手を後押しした。

 「かっとばせ」「わっしょい」。快晴の空に威勢よい声が響く。野球部応援リーダーの一人、落合義仁(おちあいよしひと)さん(17)は「最高」とかみ締めた。

 入学以来、公式戦でマスクを外して声出し応援をするのは初めて。前回出場した2年前の夏の甲子園も現2年生は黙ってメガホンをたたくことしかできなかった。「ようやく日常が戻ってきた」。もう一人の同リーダー海老原康介(えびはらこうすけ)さん(17)も声がかれるまで選手を鼓舞した。

 この日は1100人を超える学校関係者が応援に駆け付けた。一行をけん引したのは応援部の青木陽奈(あおきひな)さん(17)だ。青木さんは同部史上2人目の女子部長。入学当初に見た女子の先輩のパフォーマンスに一目ぼれし、志したという。

 当初、声出し応援はマスク着用を条件に認められていて、練習もマスクをしながら励んできたが「苦しくて声も響かなかった」。しかし開幕直前の15日に緩和。「思い切り声を出せてうれしい。選手により声が届くはず」と喜びを力に変え、精いっぱいの声と全身を大きく使った動きでエールを送った。

 吹奏楽部は1、2年生の男女63人が多彩な演奏で盛り上げた。部長の渡辺実音(わたなべみね)さん(17)は「ライブ感が強く気持ちが高ぶって楽しい」と気合十分。「応援から流れをつくりたい」とトランペットを持つ手に力を込めた。