栃木県は27日までに、絶滅の恐れのある県内の野生動植物などをランク付けした「県版レッドリスト」を改訂した。改訂は2018年以来5年ぶり。ため池や草地の環境悪化などの影響で、絶滅危惧種は21種増え1046種となった。県内で約50年ぶりに発見された植物「コキンバイザサ」や、新種と判明した「イワキサンショウウオ」などが追加された。
現状のままでは野生での存続が困難な絶滅危惧Ⅰ類(Aランク)は4種増の303種、近い将来Aランクに移行が確実な絶滅危惧Ⅱ類(Bランク)は11種増の315種、存続基盤が脆弱(ぜいじゃく)な準絶滅危惧(Cランク)は6種増の428種となった。
コキンバイザサは4~6月ごろに黄色の花を咲かせる多年草。県内では1968年以降の記録がなかったが、2020~22年に宇都宮市内の林で確認が続き、「絶滅」から絶滅危惧?類に変更された。これにより、県内で既に絶滅したと考えられる「絶滅」は1種減り40種となった。
県内では茂木町の限られた場所に生息するイワキサンショウウオをはじめ、ため池などに生育する藻類「セイロンフラスコモ」や、渡良瀬遊水地への越冬が確認された旅鳥「シマクイナ」などは新たに記載され、Aランクに分類された。イワキサンショウウオは従来「トウキョウサンショウウオ」と呼ばれていたが、京都大などの研究により22年7月に新種として命名された。
県版レッドリストは04年に策定され、今回で第4次リストとなった。県は特設ホームページ「レッドデータとちぎWEB」などを通して周知を図る。県自然環境課は「希少な野生動植物への理解を促進し、保全につなげたい」としている。