MOON DOG ESPRESSO ROASTERSの店内

「ESPRESSO CITY UTSUNOMIYA」代表の鈴木さん

マツガミネコーヒービルヂングオーナーの黒田さんとエスプレッソマシン

MOON DOG ESPRESSO ROASTERSの店内 「ESPRESSO CITY UTSUNOMIYA」代表の鈴木さん マツガミネコーヒービルヂングオーナーの黒田さんとエスプレッソマシン

 「○○の街宇都宮」と言えば何を思い浮かべますか?ギョーザ、カクテル、ジャズ…。実はエスプレッソの街でもあるんです。市内には専用マシンを導入している専門店が20店舗ほどあり、同規模の地方都市の中ではとりわけ多いのだとか。その背景や今後の展望などを調査してきました。

 エスプレッソを通して街を盛り上げようと2022年7月、市内のバリスタらが任意団体「ESPRESSO CITY UTSUNOMIYA」を立ち上げた。代表には市内における草分け的存在で、エスプレッソスタンド「MOON DOGG ESPRESSO ROASTERS」を二荒町などで経営する鈴木敏和(すずきとしかず)さん(49)が就いた。

技術の底上げが大事

 「コーヒーは苦くてまずい」。そう感じていた鈴木さんは20代で渡米し、シアトルで飲んだエスプレッソに衝撃を受けたという。抽出技術などを学び、20年ほど前に市内でスタンドを開業した。当時は珍しい業態だったが、フレッシュな豆をぜいたくに使い、高価な専用マシンで抽出したエスプレッソが評判に。次第に鈴木さんの影響を受けた客や親交のある人らが専門店を開業するようになり、市内の店舗数は20軒ほどにまで増えた。

 全国各地へ出かける度にエスプレッソ専門店へ足を運ぶという鈴木さん。その中で宇都宮には専門店が著しく多いことに気付き、地域に根付いた文化として県内外にPRしていこうと考えた。バリスタのいる個人経営のローカル店に声をかけて同会を立ち上げ、現在は20店舗ほどが加盟する。活動は交流サイト(SNS)上での店舗紹介などがメインだが、今後は世界的なバリスタを招いたトークショーなども企画中。「観光化すれば全国からプロが来る可能性がある。各店が努力して技術の底上げをすることが大事になる」

 取材後、鈴木さんが人気の「アイスラテ」(イートイン528円)を作ってくれた。香りはチョコレートのように甘く、余計な渋さや苦みのない初めての味わいだった。

本物知るきっかけに

 「マツガミネコーヒービルヂング」(本店・松が峰)も加盟店の一つ。オーナーの黒田教行(くろだかずゆき)さん(38)は開業前から鈴木さんと親交があり、街を盛り上げようと誘いを快諾したという。「ギョーザのように、どの店で飲めるか分かるプラットフォームがあってもいい。ちまたには『エスプレッソ風』の物が多い。本物のおいしさを知ってもらうきっかけにしたい」と力を込めた。

   ◇    ◇

 目覚めにも、ギョーザを食べた後の口直しにもぴったりの一杯。「エスプレッソの街宇都宮」で自分好みを探してみては。

メモ
【MOON DOGG ESPRESSO ROASTERS NO3】宇都宮市二荒町2の1カクイチビル1階▽営業時間 正午~午後6時▽定休日 火曜、水曜▽(問)info@moondogg.site
【マツガミネコーヒービルヂング】宇都宮市松が峰2の8の3▽営業時間 午前10時~午後6時(金曜、土曜は10時)▽定休日 無休▽(問)028・634・5202