ヘルメット着用の努力義務化を周知している自転車販売店=3月下旬、宇都宮市元今泉5丁目

 改正道交法の施行に伴い、4月から自転車利用時のヘルメット着用が全年齢で努力義務になった。県内の自転車販売店では大人用のヘルメットの需要が増え、一部で品薄になっている。一方、若い世代からは「ださいから着けない」との声も聞かれ、世代間で温度差もありそうだ。本県内は昨年4月の県自転車条例で既に努力義務になっているが、県警は着用者について「まだまだ少ない」と受け止める。法改正を契機に街頭広報活動などを強化する。

 3月下旬、宇都宮市元今泉5丁目のネオ・サイクリスタ駅東店。幼児用から大人用までさまざまなヘルメットが並ぶ。通勤などで使うスポーティーなタイプや野球帽のようなキャップ型、表面に生地をかぶせた帽子のようなデザインなど、私服になじむ商品もある。

 同店は昨年4月の県条例施行を受け、通勤・通学者向けのヘルメットの取り扱いを強化し、1年間で以前の2倍の約20種類に増やした。ただ、あまり反応はなかったという。一方、3月下旬には主婦層や高齢者らの駆け込み購入が相次ぎ、7千円台の商品を中心に売れた。売り場は現在、2、3種類しか残っていない品薄状態という。

 同店の川島宜昭(かわしまのりあき)チーフ(43)は「(4月の)法改正の報道を見た人が多く、影響が大きい」と明かす。ただ、来店客の多くは年配者で「20~30代の購入は増えていない」と指摘する。

 若い世代からはヘルメット着用に消極的な声も。宇都宮市中心部を自転車で下校していた高校3年の女子生徒3人組は「着けない」と即答。学校で法改正の説明はあったが、生徒の1人は「ださいし、周りで誰もしていない」と話した。

 県警交通企画課によると、県内では昨年、自転車乗車中の事故で5人が死亡し1025人がけがをした。死傷者のうち、ヘルメットをかぶっていたのは144人で約14%にとどまった。

 県警はこれまで、県内のプロ自転車チームと連携して安全教室を開いたり、高校生と合同で街頭広報活動をしたりしてヘルメット着用を呼びかけてきた。同課は「着用者は徐々に増えているが、まだまだ少ない。命を守るために着用しようと思ってもらえるまで、粘り強く広報活動を続ける」としている。