「政務活動費(政活費)は正しく使われていますか?」。下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)で白鴎大生に地方議員に関する意見を募ったところ、そんな疑問が寄せられた。「第二の議員報酬」とも言われる政活費。税金が原資で、法律では「見える化」が求められているが、領収書などをインターネットで公開していない議会は多い。栃木県議会も非公開のため、記者が収支報告書を閲覧し、妥当性を調べてみた。
政活費は政策調査や研究活動のため支給される。県議会では各会派が支給対象で、所属する1議員当たり月30万円が交付される。議員には領収書などを添付した収支報告の提出が義務付けられ、使わなかった残金は返還が必要。地方自治法では政活費について「透明性の確保に努める」と定めている。
本県議会では、収支報告を閲覧するには県議会議事堂の議会事務局を訪れて請求書を提出する必要がある。2021年度の各会派分の閲覧のため請求書を提出すると、議事堂4階の狭い閲覧室に案内された。
机に並んでいたのは、収支報告を会派ごとにとじた19冊のファイル。背幅の合計は約1・2メートル。想像以上の分量に面食らいつつ、1冊ずつ閲覧していった。
調査研究費の使途として多かったのはガソリン代や高速代。議員が調査として県幹部らと面会したり、現場を視察したりした際の経費として計上が目立った。
政活費を巡る問題は全国で何度も報道され、本県でも過去に県議の「カラ出張」や自筆の領収書を使った不正支出が発覚したことがあったが、今回の閲覧分に明確な不正請求や不適切な支出は見つからなかった。
一方で違和感を覚える支出も散見された。複数の県議が、親族が所有する建物や、自身や親族が経営する会社に事務所家賃を支払い、政活費を充当していた。こうした支出は違法でなく、県議会のマニュアルにも「慎重に対応する」とだけ書かれているが、「資金還流に当たる」との指摘もあり、他県では支出を禁じた議会や、知事が返還を求めた例もある。
約4時間かけて目を通した書類は全7019枚。精査するにはもっと時間が必要だ。写しを交付してもらう場合は1枚10円なので7万円以上が必要になる。
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)によると、22年度は47都道府県議会のうち22議会が領収書をネット公開している。23年度には山形県議会も公開を始める。
収支報告がネット公開されれば、わざわざ県庁に行かなくても誰でもいつでも閲覧できる。コピー代もかからない。政活費の見える化に加え、県民に県議の活動内容を広く知ってもらうためにも、本県議会もネット公開に踏み切るべきではないか。