通行する人たちを照らして真っすぐに江野町のオリオン通りに差し込む夕日=3月31日午後5時45分

オリオン通りに出現した「光の道」=3月31日午後5時47分

「光の道」を撮影しようと集まった人たち

通行する人たちを照らして真っすぐに江野町のオリオン通りに差し込む夕日=3月31日午後5時45分 オリオン通りに出現した「光の道」=3月31日午後5時47分 「光の道」を撮影しようと集まった人たち

 “光の道”をご存じですか。宇都宮市江野町のオリオン通りに年に2回だけ現れる現象です。しかも実際に見えるかどうかは天気次第。「日頃の行い」も試されるとか…。観察してきました。

 光の道は江野町のオリオン通りの西側から夕日が差し込み、路面にできる光の筋のこと。日の入りの角度などの関係で春と秋に見られる。時間は午後5時半過ぎからで、ピークは5分間程度だ。通りが東西に一直線になっていることや、東に向かってやや下っていること、西の空をふさぐ建物がないなど、たまたま条件がそろった。

■本紙記事がきっかけ

 宇都宮オリオン通り商店街振興組合事務局によると、注目され始めたのは下野新聞の2015年3月30日付の報道からだという。その取材をしたまちなか支局の初代支局長の男性(56)は「オリオン通りを歩いていて、やけにまぶしいなと思ったんだよね」と振り返る。「調べてみたら、ちょうど真っ正面から夕日が差し込むことが分かった」

 奇跡とも言える光の道をぜひ見てみたい。この春は4月1日を中心に前後数日がチャンスだが、曇りの予報が続き、芳しくない。雨はもちろん曇りでも見られない。そんな中、可能性がありそうな3月31日、初代支局長に指南役と撮影をお願いし、オリオン通りに立った。

 場所はミヤラジの前辺り。改めて、ここから西の方向を眺めると、空が見える空間が思ったよりも小さい。午後5時15分ごろ、西の空に雲があるものの、路面にオレンジ色の光の筋がぼんやりと見えてきた。

 ピークの45分ごろまで、あと少し。徐々にオレンジ色がはっきりしてきたように見える。通りにはカメラやスマートフォンを構えた人たちの姿も。何とか晴れてほしい。

■「やったぁ、晴れた」

 「皆さん、何を撮っているんですか」。通りかかった人に声をかけられた。光の道について話し始めると…。

 「晴れたんじゃない!」。どこかで声が。慌てて西を向くと、うっ、まぶしい。太陽が出ている。小さな空は光でいっぱい。アーケード内もうっすらとオレンジ色に染まり、よりはっきりと路面に筋が伸びていた。光の道の出現だ。

 宇都宮市、アルバイト鈴木博紀(すずきひろのり)さん(43)は「きれいな現象が身近な場所で見られ、年2回だけなど希少なのもいいですね」と、夢中でシャッターを切っていた。

 数分間の幻想的なショー。満足できたが、15年の報道で知り毎回のように訪れている元作新学院高天文部顧問の渡辺公鋭(わたなべただとし)さん(72)は「過去にはもっと良かった時がありました」。渡辺さんは、自ら計算して観察し記録を続けているという。

   ◇    ◇

 さて翌日の4月1日、やはり曇りで見ることはできなかった。次回は9月の半ば。今度は最高の光の道に出合いたい。まずは日頃の行いを良くすることから始めよう。