獨協医大と自治医大の両大学病院はそれぞれ、脳卒中や心疾患の患者の相談に応じる「脳卒中・心臓病等総合支援センター」を設置し、支援を強化している。多様な専門職が連携して患者の悩みに対応。病気の再発防止や生活の改善につなげることを目指すほか、県民への啓発活動にも注力している。
脳卒中や心疾患は、病院で一命を取り留めても後遺症に苦しむ患者が多く、再発の恐れもある。また、必要な情報が伝わらず、利用できる介護福祉サービスにつながらなかったり、リハビリを受けられなかったりする課題があった。
国は2022年度、脳卒中や心疾患に対する手厚い支援体制をつくるため、獨協医大病院と自治医大付属病院を含む全国12医療機関でモデル事業を実施。両病院は23年度も同センターを運営し支援を続けている。
獨協医大病院では20年12月、モデル事業に先駆けて脳卒中や心臓病の相談窓口を設けた。支援対象を同病院の患者以外にも拡大し、相談に応じる。豊田茂(とよだしげる)教授(心臓血管内科)は「制度を生かし切れていない患者が、しかるべき支援を受けられるようにしたい」と説明する。
今年3月23日には、脳卒中の患者やその家族が悩みを共有するオンラインサロンを開いた。竹川英宏(たけかわひでひろ)学内教授(脳神経内科)は「当事者が悩みを共有できる患者会の設立のきっかけになればいい」と指摘。心疾患でも開催を検討している。
一方、自治医大付属病院では22年10月に同センターを設置。相談事業のほか、患者の状態や服用中の薬、治療の目標などをまとめた「疾患管理プログラム」の作成を進めている。転院先の病院や地域のかかりつけ医とも共有し、適切な治療を継続することが狙い。
同大の藤本茂(ふじもとしげる)主任教授(脳神経内科)によると、退院後に薬の服用が止まったり、血圧の管理がおろそかになったりして症状が悪化し、再び入院する患者もいる。「必要な情報を共有しやすいようにして、再発防止につなげたい」と話す。
両病院は協力して脳卒中を予防するための啓発動画を作製した。小中学校の授業での活用を想定している。両親や祖父母とも内容を共有してもらい、家族ぐるみで予防への意識を高めることを目指す。