ジェンダー(社会的な性差)への考え方やアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をひもとくため、5月は「バイアス・チェック」と題して読者アンケートの結果を紹介する。今回は「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」について。全世代で男性の方が女性よりも肯定的に捉えていることが分かった。
アンケートは4月8~16日の9日間、主にインターネットで実施し、計619人から回答を得た。設問は内閣府が昨年8月に全国の男女対象に行ったインターネット調査「アンコンシャス・バイアスに関する調査研究」で肯定派が多かった設問を参考に設定した。
「男性は仕事をして家計を支えるべきか」を聞いたところ、男性の62・7%が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答したのに対し、女性は35・1%にとどまった。内閣府調査では男性48・7%、女性44・9%だったため、今回のアンケートでは男性が全国より高い結果となった。

特に、一家の大黒柱として家計を支えてきた人が多いとみられる60代以上の男性に「男は仕事、女は家庭」の考えが強い傾向が見られた。
男性と女性の回答に大きな開きが出たのは20代以下。肯定派は男性の65・4%、女性は22・0%で、43・4ポイントの差がついた。男性主体で生計を立てるべきだと感じている男性が若い世代にも多いようだ。一方、女性からは「家計を支えるのは男女どちらでも可能」「家事や育児を分担するなら共働きがいい」と共働きを望む声が多く寄せられ、男女で大きなギャップがあると言えそうだ。
【肯定派のコメント】
・子どもの頃から男が仕事し、家計を支え、女が家を守るという思いで育ってきた。(70代男性・栃木市)
・女性にはどうしても妊娠出産があるため、その間は男性が家計を支えるのが望ましい。(40代女性・宇都宮市)
・世の中的にまだまだ男性が優遇され、女性管理職のような人をなかなか見かけない。(20代男性・矢板市)
・男は仕事、女は家を守るがベター。(60代男性・矢板市)
・ジェンダーレスが望ましいが現状はまだ実現されてない。(50代男性・小山市)
・男性か女性か関係なく両方とも家計を支えるべきだ。(10代男性・宇都宮市)
・女性の妊娠期間中と出産、出産後の自身の回復や赤ちゃんと過ごせる時間の確保が大切。(40代女性・上三川町)
・同じ年齢、キャリアでも、男性の方が給料が高いことが多い。(30代女性・佐野市)
・男性は一家の大黒柱だから。(60代女性・日光市)
・男性が仕事をして帰宅して、それから家事をするのはしんどいのではないか。(70代男性・宇都宮市)
・女性の社会進出が進んだ結果、晩婚化、少子化が進んだから。(30代男性・下野市)
・働く面では男性優位な部分があるから。(30代女性・矢板市)
【否定派のコメント】
・慣習としての男女の役割分担ではなく、能力や環境、お互いの意思を尊重した家庭での役割分担が望ましいと思います。(30代女性・那須烏山市)
・奨学金を利用して大学に行っている人は半数以上いて、借金をさせられている若者は多い。結婚して一人で家族を支えるといった計画は、あまりにも前時代的でずさん。(20代男性・宇都宮市)
・家事も含め、性別で仕事をするわけではない。性別で役割を決めるのはおかしい。(50代女性・市貝町)
・男一人の稼ぎで家計を支えられるほど稼げる人は今の時代少ない。(30代女性・栃木市)
・夫婦で協力するのも結婚生活の醍醐味(だいごみ)だと思うので、明確に片方がするべきだとは思わない。(10代男性・高根沢町)
・そもそも未婚の人が増えているから役割とか意味がない。(20代男性・那須烏山市)
・これからの夫婦の形態は変わって行くので、お互いに支えあってこそ子供にも良い影響を与えると思います。私たち戦後生まれは今の若い人たちがうらやましいです。(60代女性・宇都宮市)
・一般的に男性の方が給与は高いが、事情は人により違うので性別で決めることではない。何よりその固定観念が男性自身を縛り苦しめているのではないか。(30代女性・大田原市)
・男性は仕事・女性は家事という昔からの考えはありますが、今の時代その考えは古いと思います。(10代女性・大田原市)
・どちらが家計を支えてもいいが、女性は出産の際は仕事できないため1馬力に頼るのは不安。(40代女性・足利市)
・夫婦共働きが当たり前のご時世。仮に妻が専業主婦でも、それも一つの仕事。(60代男性・宇都宮市)
・同性カップルを含め、双方がお互いに生活のために協力する必要がある。(30代男性・宇都宮市)