ジェンダー(社会的な性差)への考え方やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を読者アンケートでひもとく「バイアスチェック」。性別役割分担をテーマにした2回目は、育児中の女性の働き方について。男女ともに「重要な仕事をすべきではない」との回答が4割を占めた。バイアスがブレーキとなり、人材を生かし切れていない現状がうかがえる。

 「育児中の女性は重要な仕事をすべきではない」について、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した肯定派は男性の43・6%、女性の36・8%。内閣府の「アンコンシャス・バイアスに関する調査研究」では男性33・8%、女性33・2%で、男女ともに全国を上回る結果となった。

 

 年代別では男女ともに20代以下で肯定的回答の比率が高い。「周りや家族に迷惑をかけるのがつらい」「子育てとの両立は今の支援体制では難しい」「負担が大きい」などと不安を感じているようだ。

 ワーキングママからは「家事育児をメインで担っており、重要な仕事は荷が重い」「子どもを犠牲にしてまでやりたくない」と、重要な仕事を任されないことを「配慮」として歓迎する声もある。

 ただ、全体的に多かったのは、育児中の女性も重要な仕事をすべきだという回答。「本人がやりたい気持ちがあるならば余計な配慮はいらない」「育児中の女性が重要な仕事に就けないから、女性のキャリアアップがなされない」「育児は女性がするものと決めつけている」など、性別役割分担に否定的な意見が挙がった。

 「子育ては女性」という思い込みが女性の仕事への意欲低下やキャリア形成を妨げる要因となっているかもしれない。食い違いを生まないためには丁寧なコミュニケーションが求められそうだ。

【アンケートの方法】4月8~16日の9日間、主にインターネットで実施し、計619人から回答を得た。設問は内閣府が昨年8月に全国の男女を対象に行ったインターネット調査「アンコンシャス・バイアスに関する調査研究」で肯定派が多かった設問を参考に設定した。

【肯定派のコメント】

・自分の体力温存や精神的キャパシティーのためにも、負担を減らしてもらえてありがたかった。育児中の男性もそのような対応をしてもらうべきだ。(30代女性・栃木市

・育児という重要な役割があり、その上で重要な仕事は酷だと思う。(70代男性・野木町

・子どもの体調が変化しやすいので周りに迷惑がかかり、周りの人もそう感じる。(60代女性・宇都宮市

・まだまだ育児の中心が女性にならざるを得ない状況にあり、致し方ない。(50代男性・日光市

・育児中の女性は体力的にも精神的にも疲れていて、正しい判断ができないことがあるかもしれない。(10代女性・壬生町

【否定派のコメント】

・夫婦2人の子どもなのに、女性に育児の負担がかかるのが理解できない。そのせいでキャリアに男女差がつくのはおかしい。今はそういう時代ではない。(30代女性・宇都宮市

・必要なら担当すべきだ。周りのサポート体制がどれだけできているかが重要。(60代男性・下野市

・仕事をやれるかは本人と上司がしっかり話し合って決めること。(30代男性・宇都宮市

・築いてきたキャリアを育児で台無しにするのはもったいない。優秀な人材を育てるためにも社会の仕組みを変えるべきだ。(40代女性・宇都宮市

・そんなことをしているから、女性の昇進が遅れる(50代女性・真岡市

・できるかできないかを決めるのは本人。本人の意向を尊重したほうがいい。(50代女性・小山市