戦後、右肩上がりで増加した佐野市の人口は平成に入ると微減が続き、県人口推計で4月1日現在、11万3434人となっている。
1943年、佐野町など旧6町村が合併し市制に移行した。県内4番目の市で人口は約4万4千人。40年の国勢調査で現在の市域を見ると、9万人台半ばだ。
市史からは当時の一端がうかがい知れる。「両毛地方の眠れる町…」。盛んな機業(織物業)も近隣の足利、桐生に及ばず、市制移行は「(潜在力の)覚醒を促す」宿願だったようだ。55年、新たに旧2町村を加え旧市の形が整う。60年の人口は現市の枠で約11万8千人を数える。
90年に12万8千人超まで増加した人口だが、その後は減少傾向に転じた。2005年、佐野、田沼、葛生の旧3市町が合併し、現在の市が誕生した。人口はピーク時から約2400人減り、12万5600人(2月末時点)だった。
現在の市は、アウトレットなど大型商業施設が集中する新都市や、佐野らーめんをはじめとした人気グルメでもにぎわう。東北、北関東自動車道がつながる交通の要所であり、内陸の港「インランドポート」と産業基盤も強化された。
半面、20年の市合計特殊出生率は1・20と県平均の1・32を下回る。「改善は最重要課題の一つ」(市幹部)である。