宇都宮市塙田1丁目に15階建てのビルがあります。2007年に完成した栃木県庁です。調べ学習や遠足などで多くの小学生が訪れています。でも1873(明治6)年に今の栃木県とほぼ同じ形の県ができた時は、県庁は宇都宮市(旧宇都宮町)ではなく栃木市(旧栃木町)にありました。

 当時の栃木町は、東京につながる巴波川を中心に商業で栄えていました。今は群馬県になっている邑楽郡などの地域も栃木県だったので、栃木町が県の真ん中にあるというのが県庁があった理由のようです。

 しかし76年に邑楽郡などが群馬県になったことから「真ん中」という理由が薄れてしまいました。

 江戸時代には大きな城下町だった宇都宮町は、たくさんの人が暮らしていました。そのため宇都宮町の人を中心に「宇都宮町に県庁を移そう」という運動が起きました。

 熱心な運動と、今の県知事に当たる三島通庸県令の判断で84年、県庁は宇都宮町に移されました。その後は現在まで、ずっと宇都宮市にあります。

 残念ながら、栃木市内に昔の県庁の面影はほとんど残っていません。県庁の敷地の周りを囲んだ堀が「県庁堀」と呼ばれ、県庁があったことを伝えています。毎年、栃木高の1年生が草を刈ったりごみを拾ったりして大切にしています。

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