矢板市内のJR宇都宮線で3日、線路脇にカメラを手にした3人が立ち入り、走行していたツアー専用臨時列車の寝台特急「カシオペア」が緊急停止していたことが6日、JR東日本などへの取材で分かった。至近距離で列車を撮影しようとしたとみられ、その様子を撮影した動画が交流サイト(SNS)で拡散された。矢板署は、列車往来危険や鉄道営業法違反などの疑いを視野に事実関係を捜査。JR東日本は線路内などに立ち入って撮影しないよう注意を呼びかけている。
JR東日本によると、3日午後6時ごろ、同市内の同線蒲須坂-片岡駅間で、上野発青森行きのカシオペアの運転士が線路付近に立ち入った人を確認し、緊急停止した。安全を確認し、14分遅れで運転を再開。乗客にけがはなかったが、一部電車が遅延した。
カシオペアが緊急停止する動画は同日にツイッターに投稿され、6日夜までに約3400万回再生された。動画には線路脇でカメラを構える3人が写っている。カシオペアは警笛を鳴らしながらそのすぐ側を通過し、その後に停車。3人は通過と同時に線路から離れ、機材を持って走り去った。3人は鉄道写真ファンの「撮り鉄」とみられる。
動画を撮影した都内在住の公務員男性によると、3人はカシオペアが通過する約1分前、近くの踏切に機材やバッグを置いて土手を駆け上り、線路脇で待機していたという。
男性は「立ち入っていいのか」と疑問に思い、スマートフォンでとっさに撮影。「そもそも危ない行為だし、一般の乗客やJRに迷惑をかけている。ちゃんとルールを守っている撮り鉄の立場も狭めてしまうのでは…」と語った。
矢板署も動画を把握しており、場所や行為者など、事実関係の特定に向けて捜査している。5日には防犯メールで、「線路内に侵入する行為は犯罪です。そのような状況を目撃された方は、警察に通報をお願いします」と配信した。
JR東日本の担当者は今回の迷惑行為を受け、「安全のため、沿線や鉄道のための用地、私有地に立ち入っての撮影は止めてほしい」と話している。