南北に国道4号、東西に50号と、二つの広域幹線道路が市街地で存在感を誇る小山市。国直轄の国道が複数ある自治体は県内で唯一だ。かつて日光街道の宿場町として栄えた歴史が現在につながっている。
日本最長の国道として知られる4号は1965年、市内中心部を通る粟宮-喜沢間でバイパスが完成し現ルートとなった。旧道は東側を並行する県道265号。これが日光街道だ。
ただ、経済発展や人口集中により交通量が増加。市街地では拡幅が困難で、程なく新4号国道が計画される。市内では東部郊外のルートで、2008年までに6車線化が完了した。
前橋市から水戸市へ、北関東の主要都市を結ぶ50号は、1972年に小山大橋が開通。国道4号やJR宇都宮線をまたぐ神鳥谷(ひととのや)-小山の連続立体交差は94年に完成した。
かつては小山市役所北側や思川の観晃橋を通っていた。国道4号から西方が「佐野道」、東方は「結城道」と呼ばれ、現在の県道264号に当たる。
道路充実と共に課題となったのは歩行者の保護だった。62年に羽川小前の国道4号に日本初の通学用歩道橋「愛の橋」、68年には市役所前に形状が珍しい「X字型歩道橋」が設けられた。国道4号では現在も、歩道拡幅や電柱地中化工事が進められている。
小山歴史研究会顧問の山中正(やまなかただし)さん(87)は「利便性と、人への配慮とのせめぎ合いは今も続いている」と街の移ろいに思いを巡らせている。