第105回全国高校野球選手権記念栃木大会第11日は23日、県営球場で作新学院-青藍泰斗、文星芸大付-国学院栃木の準決勝2試合が行われ、作新学院が2年ぶり27度目、文星芸大付が4年ぶり17度目の決勝進出を決めた。
10点のビハインドからすさまじい追い上げを見せた青藍泰斗。だからこそ、こみ上げてくる悔しさも大きかった。整列するナインは涙をこらえられず、石川俊介(いしかわしゅんすけ)監督はぼうぜんとスコアボードを見つめた。
序盤で8本の長短打を許し、バッテリーにも焦りが生まれた。捕手の野原大馳(のはらだいち)は「初球から振ってくるのは分かっていたが、頭が真っ白になってしまった」。許した安打のほとんどが、最初のストライクを狙われたものだった。
それでもナインは諦めていなかった。7点を追う四回は1点を返し、なおも無死一、二塁でベンチは佐川秀真(さがわしゅうま)に強攻策。結果としてこの判断が反撃ムードに火をつけ、関屋希夢(せきやのぞむ)、藪下来生(やぶしたらいき)も適時打で続き2点差まで迫ってみせた。
試合後に「この子たちと甲子園に行きたかった」と声を震わせた石川監督。現3年生は入学時から手塩にかけて育ててきただけに、思い入れは強かった。押山真登(おしやままなと)主将も「もっとみんなと野球がしたかった」と思いは同じ。この日は間違いなく、チームが最も輝きを放った夏だった。