2022年度に県内25市町に寄付されたふるさと納税の総額が過去最高の95億8700万円となったことが18日までに、総務省のまとめで分かった。前年度の1・5倍に増え、トイレットペーパーなど日用品の返礼品が人気の小山市と佐野市への寄付が目立った。一方、下野新聞社の試算では住民が他の自治体に寄付したことによる流出額や返礼品経費を差し引くと、11市町が赤字になることが判明。激しい返礼品競争を背景に、二極化の傾向がうかがえる。
寄付獲得額はトップの小山市が32億3100万円。前年度の約3倍に増え、県内総額の3分の1を占めた。獲得額のうち9割が同市内の坪野谷紙業が製造するボックスティッシュとトイレットペーパー。同市担当者は「物価高の中、容量の多いティッシュなどの返礼品が口コミで広がり、寄付額増につながった」と説明する。
佐野市は12億4800万円で、同市に工場を置くエルモア関東のボックスティッシュに寄付が集中した。日光市は宿泊券や菓子などが人気で8億4100万円、栃木市が7億7800万円、那須町が6億600万円などと続いた。
下野新聞社の試算では、25市町合わせた収支は10億9700万円の黒字。小山が12億3千万円、佐野4億7800万円、日光4億200万円など。
一方で11市町が赤字となり、宇都宮市は最も赤字額が大きく14億7400万円。ギョーザなどの返礼品に力を入れるが、他自治体への流出額が16億円超だったことが響いた。同市担当者は「人口が多く、流出額が大きくなってしまった」と分析した。このほか下野市が2億1千万円、足利市が9100万円などだった。
流出した住民税の減収額は最終的に地方交付税で75%が穴埋めされるが、総務省の担当者は「このまま寄付総額が増えれば、自治体間の格差が広がる可能性がある」と話す。ふるさと納税は本来、自治体を応援するための制度。過度な返礼品競争なども指摘される中、同省は10月から経費に含まれる基準を厳格化し、制度の趣旨を徹底させるとしている。