一層の交流促進へ握手を交わす金子市長(右)とシビ・ジョージ駐日インド大使

 「(日本のクリケットの)聖地になってほしい」。9月の初め、佐野市国際クリケット場(栃本町)を視察したシビ・ジョージ駐日インド大使は、こう語りかけ案内役の金子裕(かねこゆたか)佐野市長と握手を交わした。

 クリケット場は国の地方創生拠点整備交付金を受け、閉校した旧田沼高跡地に整備された。国内初という国際規格の広さなどを満たす施設として2018年春に完成した。

 フィールドの面積は約3ヘクタール。緑鮮やかな天然芝が覆う第1、第2オーバルに人工芝の練習ピッチ、約500人収容の観客席も整備され、同所には日本クリケット協会が本部を構える。

 同市では10年に市内で開催された国際大会を契機に機運が高まり翌年、地元企業など有志による「サポータークラブ」が組織された。14年策定の市スポーツ立市推進基本計画で「発展の可能性が特に高いスポーツ」として位置付けられた。

 ここ約10年間で延べ約3万人の子どもたちがクリケットを体験。20年のU19(19歳以下)ワールドカップには市内育成の3選手が出場した。各種イベントや大会の誘致、開催により年間約1万3千人が市内を訪れ、直接の経済効果は年1億円以上という。市や協会は「基盤は固まった」と話す。

 世界有数のメジャースポーツ。特にインドでは「多民族、多言語のインドをまとめているのはクリケット」といわれるほどだ。

 28年ロサンゼルス五輪の追加競技の有力候補に挙がっており、将来的に一層の注目が集まるのは確実。IT大国インドなどとの産業、観光交流の期待が高まる中、「佐野から世界」「世界から佐野」へ、さらに歩みを進める。