福田屋百貨店(宇都宮市戸祭元町、福田宏一(ふくだこういち)社長)の役員が、同社公認の新会社「ファミライズ」(宇都宮市戸祭元町、黒岩忠嗣(くろいわただつぐ)社長)を立ち上げ、地元企業のマーケティング事業を展開している。栃木発の全国ヒット商品を創出しようと、スイーツなどのオリジナル商品の開発も進めており、11月に発売する予定。小売業以外の福田屋の新しいビジネスモデルの構築も模索している。
ファミライズは3月に設立された。福田屋百貨店の執行役員を務める黒岩社長のほか、同社の福田二千翔(ふくだにちか)取締役や社員ら計7人が事業に携わる。
黒岩社長は都内のIT企業でアプリ開発の子会社を経営していた経験があり、福田屋百貨店には新たな収益源となる事業の構築のため、2022年1月に入社したという。主軸の小売業は人口減少などで規模拡大に限界があるとされ、新事業の確立に向けファミライズを立ち上げた。
現在、県内や群馬県の牧場、酒蔵など15社に携わり、電子商取引(EC)サイトづくりやLINE(ライン)の各社公式アカウントの運用などを手がけている。これまでの実績として、ラインの「友だち」登録数を倍増させ、イベントの参加者拡大につなげた温浴施設もあるという。
11月下旬には、県内企業と共同開発中のオリジナル商品を発売予定。地元の食材を使ったスイーツやコーヒーで、福田屋百貨店の店舗や今後立ち上げるファミライズの通販サイトで販売する。各種商品を開発して全国に発信し、県内企業を後押ししたい考え。
社名はファミリー(家族)とカスタマイズ(特注する)を組み合わせた。事業全体のターゲットを家族に設定していることや、地域を家族と位置付け、地域の強みを引き出そうという企業理念に由来する。
まずは来年3月までに、月商1千万円以上を目指す。黒岩社長は「ファミライズの成功例を福田屋に取り込んでいく。一メーカーとして、栃木発のいいものも作りたい」と話している。