「+1」などから始まる国際電話番号が特殊詐欺に悪用されるケースが急増している。2022年に9件だった県警の認知件数は今年8月末現在、約9倍の79件に上った。番号を取得して通話できるスマートフォンのアプリを通して、国内の特殊詐欺グループがかけているとみられる。現金がだまし取られる被害も数件起きており、県警は「知らない番号からの電話には出ず、海外からの着信を休止できるサービスも活用してほしい」と注意を呼びかけている。
県警生活安全企画課によると、県警が認知した国際電話番号が悪用されたとみられるケースは6月以降、急増している。米国やカナダを示す「+1」、英国の「+44」で始まる番号で固定電話や携帯電話にかかってきており、電話に出ると、日本語で現金の振り込みなどを求められる。
急増の背景には、警察庁による特殊詐欺の対策強化があるという。契約時の本人確認が不要だった「050」で始まるIP電話は21年から、特殊詐欺に使われた番号を利用停止にするようになった。固定電話でも同様の措置が取られた。
国際電話は利用停止の対象になっておらず、特殊詐欺グループは摘発を難しくするため、国際電話番号を悪用している可能性がある。県警の担当者は「(国際電話番号の悪用は)今後さらに増える恐れがある」と警戒を強めている。
県警は注意を訴えるチラシを作製し、各署を通じて配布する。また通信事業者が運営する国際電話不取扱受付センター(0120・210・364)に申し込めば、海外との発着信を停止できるといい、県警はこのサービスの利用の検討も促している。
警察庁によると、全国の警察が認知した国際電話番号が悪用されたとみられるケースは、今年2月から徐々に増え、7月に969件と急増。8月は1083件、9月は2192件に上った。昨年は月別で最高でも38件だった。