東京高裁の判決後、記者会見を開いた原告団=24日午後、県庁記者クラブ

東京高裁の判決後、記者会見を開いた原告団=24日午後、県庁記者クラブ

東京高裁の判決後、記者会見を開いた原告団=24日午後、県庁記者クラブ 東京高裁の判決後、記者会見を開いた原告団=24日午後、県庁記者クラブ

 那須塩原市湯宮(ゆぐう)で操業する産業廃棄物安定型最終処分場を巡り、運営会社が住民側の同意書を偽造して県から設置許可を受けたとして、湯宮地区の住民ら12人が福田富一(ふくだとみかず)知事に許可の取消を求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。水野有子(みずのゆうこ)裁判長は、処分場から2キロ圏内の住民6人については訴える資格「原告適格」があるとして、一審宇都宮地裁に審理を差し戻した。残る6人の控訴は棄却した。

 一審宇都宮地裁判決は同意書の偽造を認めたが、行政の判断を誤らせる行為ではないと判断。提訴が行政処分などの取り消しを求めることができる1年を過ぎていたことから、原告適格がないとして審理前に退ける「却下」としていた。

 高裁は2キロ圏内の住民に限っては、土壌汚染や水質汚濁などで重大な損害を受ける可能性があると指摘。「適法な施設の操業などを確保する趣旨によるもの」として、期間を問わず訴えができると認めた。

 残る6人の自宅は処分場から2キロ以上離れており健康被害の恐れは少ないなどとし、一審判決を支持して控訴を棄却した。

 判決後に県庁記者クラブで会見した原告の男性は「いちるの望みが出た」と安堵(あんど)した。代理人弁護士は「差し戻し審では業者の適格性も審理してほしい」と強調した。

 県資源循環推進課の担当者は「判決内容を分析・確認し、適切に対応したい」と話した。