駐車違反の車両の持ち主に納付を命じる「放置違反金」で、2022年度の県内の未納件数は前年度比11件減の254件、未納額は約18万円減の計394万円となり、未納額は12年連続で減少したことが16日までに、県警のまとめで分かった。改正道交法により制度が新設された06年以降、初めて400万円を切った。ピークだった10年度の計1145万円に比べ65%減少した。県警は未納者への電話や戸別訪問の回数を増やしたことなどが奏功したとみている。
県警交通指導課によると、放置違反金は、車の運転者が放置駐車違反の反則金を納めない場合、県公安委員会が車の所有者に違反金の納付を命じることができる制度。駐車禁止場所での普通車の違反には1万5千円が科せられる。納付しない場合、財産を差し押さえられたり、車検の手続きができなくなったりする。
22年に県内で摘発した放置駐車違反は、前年比794件増の3737件。過去10年では14年の5093件をピークに減少傾向が続いていたが、22年は2年ぶりに大幅に増えた。県警は同年から、各署の地域課員らを対象に放置車両関連の講習会を開いて取り締まりを強化しており、そうした影響も出ているという。
滞納などによる未納額は、ピーク時10年度の約1145万円以降、減少が続く。16年度は約711万円、19年度は約600万円となり、22年度は400万円を下回った。徴収担当の同課員は未納者への電話や戸別訪問を実施している。未納者から折り返しの連絡が未明に来た場合も対応し、徴収につなげているという。
担当者は「『絶対徴収する』という強い姿勢でやっている」と話す。22年度は悪質滞納者の預金口座から違反金を差し押さえるなど強制的な徴収が6件あった。
一方、車両の所有者が不明だったり、出国済みの外国人だったりし、徴収できずに時効の5年を迎えるケースもある。13~22年度の過去10年の未納額は累計約6900万円に上る。
担当者は「逃げ得は許さない。粘り強く違反金を徴収していく」と強調する。放置駐車違反については「救急車などの走行に支障を来し、命に関わりうる重い罪であることを認識してほしい」と呼びかけている。