事業譲渡した崎尾社長(左)。足利銀行の担当者に現状を報告した後、玄関先で笑顔を見せた=11月中旬、宇都宮市二荒町

 会社の行く末を約7年間、1人で悩み続けた。

 計測機卸売業のコアミ計測機(宇都宮市二荒町)。1889年(明治22年)創業の老舗だが、5代目の崎尾肇(さきおはじめ)社長(60)には、後継者がいなかった。一人息子は医師の道へ進み、残されたのは第三者への譲渡だった。

 「周りに不要な心配をかけたくない」と誰にも相談できずにいた2020年秋。足銀宇都宮支店の担当者に、声を掛けられた。「後継者はどうするんですか」