足利銀行と常陽銀行が開いた技術商談会。販路拡大などを求め、約200社がブースを並べた=8月30日、茨城県つくば市

 「これから成長しそうな企業の“種”を足元で見つけ、拾うのが地方銀行の役割だ」

 足利銀行の元頭取池田憲人(いけだのりと)氏(75)は、今もそう強調する。

 一時国有化後の2003年12月から約4年半、経営再建の旗振りをした。足がかりとして打ち出したのが「靴底減らし運動」。顧客の元へ足しげく通い、ニーズや困り事を吸い上げた。

 「営業担当だけでなく、支店長も外回りする機会が増えた」。元行員は振り返る。取引先を片っ端から回り、経営状況を基にじっくり向き合うことで「融資だけでなく、事業拡大に必要なマッチングも進めた」。

 全行を挙げた取り組みが目指したのは「地域金融機関の本来の姿」。体力を失った銀行は、原点に回帰し、筋肉を付けていった。