クリスマスが直前に迫る中、県内の洋菓子店では例年よりも一回り小さいサイズのホールケーキの予約が増えている。卵やイチゴなど材料費の高騰や光熱費の上昇で、ケーキは昨年から値上げ傾向にある。
リサーチ会社によると、全国の洋菓子店やスーパーなどのホールケーキの値段は、前年より325円上がった。店側は“小さめケーキ”の需要増について「各家庭が節約傾向にあるのでは」とみる。一方、イブに当たる24日は家族や友人らと集まりやすい日曜日で予約数は昨年より伸びているという。
「大きいサイズの予約がまるでない」。矢板市本町、「ウィーン洋菓子店」の店主船山勝巳(ふなやまかつみ)さん(70)は苦笑する。
通常のショートケーキは、6号(直径18センチ)のホールケーキを切り分ける。昨年のクリスマス、ホールケーキの売れ筋は6号(4600円)が中心だったが、今年は一回り小さい5号(直径15センチ、3450円)が予約の8割超を占める。直径の差は3センチ、値段の差は1150円だ。
背景にはケーキの値上げがある。生クリーム、卵、イチゴ…。1年前に比べ原材料費が上がり、光熱費は2割増えた。やむを得ず、この冬は生クリームの5号を450円程度、6号を800円値上げした。
「値上げはギリギリの判断。お客さんには申し訳ない。また食べたいと思ってもらえるケーキを一生懸命作るだけです」。船山さんはそう話す。
帝国データバンクによると、全国の洋菓子店や百貨店、コンビニなどで販売されるクリスマスケーキの今年の平均価格は4468円で、前年比325円上昇。おととしからは529円値上がりで、同社は「高額品の買い控えや低価格品への人気集中がある」とみる。
県央の洋菓子店もこの冬、値上げした。5、6号が売れ筋の中心だが、4号(直径12センチ)の予約が増えており、“小型人気”を肌で感じている。イブが日曜日となったことも奏功し、予約は好調だ。男性店主は「小さくてもあった方がいいのがクリスマスケーキ。ただ、これ以上の値上げはお客さんに受け入れられるか不安」と漏らした。