4年間で1度でも走れれば良かったのです。高校時代はいわば無名でしたから。全国高校駅伝に出たのは1度だけ。インターハイ(全国高校総体)には出ていません。1500メートルなど中距離が専門で、筋肉質で体も大柄。性格的にも長い距離は向かない方でした。

 だから初の2区は信じられない出来事でした。区間賞は3秒差で逃しましたが、20キロ以上の距離でも戦えると自信がついたのです。卒業後はマラソンに挑戦するまでになりました。

 2020年まで那須拓陽高駅伝部の監督を務めました。箱根駅伝を目指す生徒には「真剣勝負の世界に飛び込む覚悟があるか」と聞くようにしていました。メンバーに入れず4年間が終わる選手も多い。強い思いがなければチャンスを逃してしまう。大学1年目の私がそれを教えてくました。

 すずき・けんいち 1967年氏家町(現さくら市)生まれ。宇農(現宇都宮白楊)高-順大。富士通在籍時の94年に広島アジア大会マラソンで6位入賞。99年北京国際マラソンで優勝した。現在は那須拓陽高教。

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