年賀はがきの発行枚数が年々減る中、下野新聞社は27日までに、新年に紙の年賀状を送るかどうかを尋ねるウェブアンケートを行った。「出す」と答えた人は55%で、「出さない」の39%を上回った。出す理由は「毎年の習慣」が最多。出さない理由は「別の方法であいさつする」「準備が面倒」が多かった。全体の64%が年始のあいさつで交流サイト(SNS)やメールを活用するなど、はがき離れの背景も浮かんだ。一方、はがきを受け取った時の気持ちは「うれしい」「とてもうれしい」が8割弱に上った。

 ウェブアンケートは22~25日、「あなた発 とちぎ特命取材班」の無料通信アプリ「LINE(ライン)」や公式SNSで行い、県内外の10~80代の359人から回答を得た。割合は50代が最多。アンケートは多様な意見の聞き取りが目的で、世論調査とは異なる。

 紙の年賀状を出すとの回答は199人。複数回答の理由は「毎年の習慣」が最も多く、「近況報告のため」「相手から届くから」と続いた。また約7割がはがきに加え、SNSやメールでも新年のあいさつをすると答えた。はがきを出す人の65%は前年から枚数が減ったとし、「出しても相手から来ない」(40代男性)、「SNSでのあいさつが増えた」(50代女性)などを理由に挙げた。

 

 出さないと答えたのは140人。複数回答の理由は「別の方法であいさつする」「準備が面倒」が多く、「費用がかかる」と続き、出すのをやめる「年賀状じまいをした」との回答もあった。はがきに代わるあいさつ方法としては「SNS」が最も多く、「直接会う」「メール」と続いた。「年始のあいさつはしない」との回答も一定数いた。

 

 新年のあいさつとして一番うれしい方法は「年賀状」が約4割で最も多く、「SNS」「直接会う」がそれぞれ3割弱だった。

 「はがきの年賀状を送る文化・習慣は必要か」の問いでは、「必要」が28%で「不要」の23%を上回った。ただ「どちらとも言えない」が半数を占め、「出す出さないは個人の考え」「文化習慣は時代や世代で変化する」「個人情報が丸見え」「はがきの値上げ方針が出た」などの意見があった。

50年保存の女性 「思い出そのもの」

 「年賀状は思い出そのもの。出さない選択肢はありません」

 紙の年賀状を「出す」派の那須町芦野、絵手紙愛好家荒井紀子(あらいのりこ)さん(72)は、孫の写真が載ったはがきをめくってほほ笑んだ。

 荒井さんは学生時代から50年以上、受け取ったほぼ全ての年賀状を、年ごとにひもで束にまとめて保存している。「メールや交流サイト(SNS)だとすぐなくしてしまうけど、紙ならなくさない。大切な思い出です」

年賀状作りを進める荒井さん=12月下旬、那須町芦野

 荒井さんが来年の正月に合わせて出す年賀状は100枚超。相手は家族、高校の友人、かつての同僚、絵手紙仲間と幅広い。

 荒井さん自身も今回の年賀状は辰(たつ)年にちなみ、消しゴムはんこで作った味わいのある鳴竜や筆文字で工夫を凝らした。「元旦にどんな年賀状が届くのか」と今から心待ちにしている。

 一方、年賀状を「出さない」派の宇都宮市、大学2年の男性(20)は「自分で年賀はがきを出したことがない」と明かす。

 新年のあいさつは毎年、通信アプリ「LINE(ライン)」で済ませる。「スタンプ一つで済むから楽だし、会って話せばいいから、はがきの必要性を感じたことがない」とあっさりだった。