カット野菜を製造・販売する上原園の本社=栃木市

 カット野菜を製造・販売する上原園(栃木市都賀町家中、岡部一法(おかべかずのり)社長)が、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みに注力している。社内にチームをつくるなどし全社を挙げてDXを通じた業務効率化を図っている。将来的には同業他社に対し、DX推進に関する支援サービスの提供も視野に入れる。

 同社は2023年1月1日、経済産業省の定めるDX認定制度の「DX認定事業者」となった。

 経営改善を図るため、同社は以前から県産業振興センターの講座などを受講し、日産自動車の業務改善手法を学んできた。同手法に基づく社員教育や業務改善の一環として、IT化も進めてきたという。

 全社的にDXを推進する体制を整備しようと、22年には社内にDX推進チームを立ち上げた。プログラミングやエクセルなどの活用を学ぶDXリテラシー教育の実施などを社内で主導している。

 DX推進による成果の一つが、日々の事務作業でのパソコン操作を自動化する技術「RPA」を活用した業務の自動化だ。

 例えば、従来は1日の生産量や従業員の労働時間などをシステムに手入力し、社内のコミュニケーションツールで情報共有していた。RPAを活用することで、手入力は不要となり自動で報告できるようになり、業務が大幅に改善されたという。

 同社のDX戦略(22~30年度)で中期と位置付ける23~25年度は、部署をまたいで行っている商品箱のラベル発行業務の自動化や、商品の受注を管理する自社アプリの開発を目指す。手入力の業務を80%削減させたい考え。

 将来的には同業他社向けに、RPAを活用して業務効率化を図るサービスの提供も検討している。岡部社長は「DXの推進を通して、業務の改善など社員の学びが深まることが大切。IT技術を活用すれば革新を起こせるという意識付けもしてきたい」と話した。