大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=1月31日、福岡市博多区

大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=福岡市博多区

大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=福岡市博多区

かつて飾られていた桜の階段アート(サンプラザ協同組合提供)

かつて飾られていた雪景色の階段アート(サンプラザ協同組合提供)

大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=1月31日、福岡市博多区 大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=福岡市博多区 大阪城と満開の桜の画像を使った「サンプラザ商店街」の階段アート=福岡市博多区 かつて飾られていた桜の階段アート(サンプラザ協同組合提供) かつて飾られていた雪景色の階段アート(サンプラザ協同組合提供)

 JR博多駅前の老舗地下街に巨城の階段アートがあるのをご存じだろうか。満開の桜の向こうにそびえる天守閣の画像に「Welcome to hakata(ようこそ博多へ)」と英語が添えてある。「これ大阪城です」。昨年11月、福岡県出身のお笑い芸人カンニング竹山さんが交流サイト(SNS)に投稿して話題を集めた。なぜ福岡城じゃないの? 西日本新聞「あなたの特命取材班」に調査依頼が寄せられた。

 階段アートがあるのは、福岡市博多区博多駅前2丁目の福岡朝日ビルと福岡センタービルの地下のサンプラザ商店街。地下1階と地下2階をつなぐ大階段だ。

 「確かに大阪城です」。商店街の組合事務所を訪ねると、あっさり答えてくれた。周辺には外国人旅行者が多く利用するホテルが集まることから「迷路のような地下街で誰もが分かる、目立つスポットにしたかった」という。

商店街組合の希望

 制作した福岡市の広告代理店に聞くと、過去には誘客のため、春は桜、夏は能古島(同市西区)にあるヒマワリ畑、秋は紅葉、冬は雪景色など四季折々の風景を階段アートにしてきた。新型コロナウイルス禍直前の2019年11月から現在の形になったそうだ。

 福岡城跡(同市中央区)も桜の名所。ただ石垣と櫓(やぐら)の一部などが残り、天守閣が実際にあったかは定かでない。大阪城の画像と取り違えたのか。広告代理店の担当者はきっぱり否定し「大阪城と桜の写真を使うことは組合さんの希望で決まった」と教えてくれた。

 商店街組合の金子英信理事長(66)によると「日本らしい『城と桜』がインバウンド(訪日客)に一番喜ばれる」と若い飲食店店長らが提案したという。「福岡城にしたかったが、天守閣がない。復元予想図も著作権の関係で難しいと思った」と明かした。

あえて九州以外に

 代替案として九州の別の城は候補に挙がらなかったのだろうか。金子さんは「熊本城なども検討したものの、郷土愛が強い人の場合は抵抗感を抱くかもしれない。そこであえて九州以外にした」。姫路城など数点の候補から選んだそうだ。画像の城が福岡にあると思って場所を尋ねてくる人はおらず、当面はデザインを変える予定はないという。

 コロナ禍が収束し、国内外からの観光客のにぎわいが戻った博多駅。大階段の隣で生花店を営む本庄都さん(63)は「外国人の家族連れがよく階段に座って記念撮影をしている。カンニング竹山さん効果で見物に来る若者も増えた」と笑顔を見せた。

 50年以上の歴史を持つ地下街。そこで働く博多商人の優しさとおもてなしの心から生まれた「博多の大阪城」は、新たな観光名所になりつつある。(西日本新聞)

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