全国2冠を成し遂げた坪井(FCYs)

全国2冠を成し遂げた江泉(SPIDER)

滝田宗虎

全国2冠を成し遂げた坪井(FCYs) 全国2冠を成し遂げた江泉(SPIDER) 滝田宗虎

 第28回全国少年少女選抜レスリング選手権大会が1月27、28日、東京・板橋区立植村記念加賀スポーツセンターで行われ、6年65キロ級でFCYsの坪井大武(つぼいひろむ)(玉生)と4年50キロ超級でSPIDERの江泉凌馬(えいずみりょうま)(三重)が優勝し、共に昨年7月の全国選手権大会に続き2冠を成し遂げた。

 6年33キロ級で、さくら市少年クラブの滝田宗虎(たきたむねとら)(さくら南)は2年連続で準優勝。6年60キロ級で下野サンダーキッズの高橋諒大(たかはしりょうた)(宮の原)、同70キロ超級で同クラブの船越海瑠(ふなこしみりゅう)(壬生)、女子5年33キロ級で同クラブの飯塚心已(いいづかみこ)(姿川一)、同4年36キロ級でSPIDERの岡田(おかだ)ニカ(群馬・桐生南)が3位だった。

 大会には全国選手権大会の各階級でベスト8以上だった選手が出場した。

対照的な戦いで王座保持 坪井、江泉

 全国大会の上位者のみが上がることを許された全国選抜のマット。夏の優勝者が次々と敗れる波乱の大会で、本県の2人の王者が2冠を成し遂げた。

 6年65キロ級のFCYs・坪井大武(つぼいひろむ)(玉生)は圧倒的な強さを見せつけた。準決勝では前半でテクニカルフォール勝ちを決めた。決勝では開始3秒でタックルを決めてバックを取ると、そのまま2度のローリング。わずか20秒で5点をリードし、優勝を決定づけた。

 夏の課題だったタックルを強化。グレコローマンの強豪選手だった新コーチからの指導も生かした。無失点での連続テクニカルフォール勝ちには1点届かなかったが、指導する高野剛(たかのつよし)監督に「全階級で一番安定した試合運びだった」と言わしめるほどの完勝だった。

 4年50キロ超級のSPIDER・江泉凌馬(えいずみりょうま)(三重)は劇的な大逆転だった。決勝で鋭いタックルで攻める相手に0-9。テクニカルフォール負け寸前まで追い込まれた。

 だが想定内。1階級下との併合開催に、タックルが武器の選手への対策は万全だった。「フォール勝ちしかない」。追い込まれた場面で、体に染み込ませた動きが出た。相手のタックルをつぶすと脇の下に入り込んであおむけに。「絶対逃さない」と渾身(こんしん)の力で両肩をつけると、レフェリーが2度マットをたたいた。

 勝ち方は対照的だが、2人は「2冠を達成できてうれしい」。その笑顔は胸の金メダルもよりも鮮やかに輝いていた。