【那須】町は22日の町議会議員全員協議会で、県内酪農家から乳用牛を預かって放牧する大島の町営牧場「町共同利用模範牧場」(約330ヘクタール)の活用策を検討するため、2024年度の夏期預託牛受け入れを休止すると発表した。既に各酪農業協同組合を通して利用者に周知。同年度末で5年間の指定管理契約期間が終了するが、指定管理者の再募集は行わないという。

 町によると、同牧場は1968年4月に地域の酪農家・畜産農家を支援する公共牧場として設置された。2015年度からは漆塚の農地所有適格法人「那須の農(みのり)」が指定管理者として運営。23年度夏期は町と那須塩原、大田原、真岡3市の酪農家25軒が所有する527頭の牛を受け入れていた。

 ただ、町内酪農家の利用は減少傾向にあり、同年度は全約70軒中10軒。牧場の運営管理費や施設修繕費として年間約3600万円かかり、さらに老朽化した施設の建て替え費用として、30年度までに約12億6千万円かかると見込まれているという。

 牧場の活用策を検討する理由について、町農林振興課の阿久津正樹(あくつまさき)課長は「牧場を利用している人と利用していない人の間の公平性の担保、さらに費用などの面を総合的に判断した」と説明。利用者に対する説明会を開催する考えを聞かれると「検討したい」と答えた。

 阿久津課長は下野新聞社の取材に対し「利用者の方には不便をおかけするが、今後は町内の酪農家に対し別の形の支援策を検討したい」と話した。