国土交通省は26日、2024年1月1日時点の公示地価を発表した。県内全体(全用途)の1平方メートル当たりの平均地価は32年連続で下落したが、下落幅は前年より0・2ポイント縮小のマイナス0・3%だった。県内466地点を調査し、前年より上昇した地点は36増え、下落地点は24減った。JR宇都宮線沿線を中心に住宅地の需要が堅調で、昨年8月に開業した宇都宮市と芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)沿線エリアも前年より価格が上がった地点が目立った。一方、人口減少や高齢化の進む中山間地域などは下落傾向が続いた。
24年地価公示代表幹事の不動産鑑定士柴崎博之(しばざきひろゆき)氏は「宇都宮市や小山市、下野市は人口減少率や高齢化率が県平均より低く、工場誘致などの新規投資も進んでおり、全体の地価を押し上げている」と指摘した。
公示地価は土地の取引価格の指標などとして、選定した標準値の1平方メートル当たりの価格を判定する。
県内は住宅地349地点、商業地97地点、工業地20地点を調査した。上昇した地点数は住宅地が105、商業地28、工業地17の計150地点。全用途の平均価格は4万2500円だった。
住宅地を見ると、平均変動率はマイナス0・5%と下落率は前年より0・1ポイント縮小した。平均価格は3万5千円。最高価格は宇都宮市宿郷5丁目で、前年より2・9%上昇の14万3千円だった。上昇率トップはLRT沿線の同市ゆいの杜(もり)4丁目。3年連続の1位で、前年より7・5%上昇の6万6300円と大きく伸びた。
商業地は変動率がマイナス0・3%で、下落幅は前年より0・2ポイント縮小した。平均価格は7万4100円。大規模開発が行われたJR宇都宮駅東口周辺やLRT沿線などの需要が堅調に推移した。
工業地の変動率はプラス2・2%と3年連続で上昇した。東京圏からの交通アクセスが良好なことから需要は底堅いという。上昇率トップはプラス3・8%となった小山市横倉新田。価格が最も高かったのは宇都宮市川田町で、前年と同じ4万5千円だった。