三輪浦さん・風化防ぎ、啓発に尽力
降り積もった雪を一歩一歩、踏みしめた。7年前、雪上歩行訓練を行ったスキー場のゲレンデ。三輪浦さんは「今年は雪が多く当時の状況に近い」とこぼした。中腹にある「一本木」に献花し、両手を合わせた。

雪崩事故があった現場近くで献花し手を合わせる三輪浦さん=27日午前8時50分、那須町湯本
あの日。一本木から樹林帯を登り、その先の斜面で雪崩が起きた。自身も1カ月の重傷を負った。つらい記憶が残る地を毎年訪れるのは、仲間に「節目節目であいさつしたい」との思いから。「みんなの家族や友だち、この辺の山に来る人も見守って」と願う。
大学を卒業し、4月から大学院に進学する。年齢を重ねるにつれ、事故の見え方も変わってきた。山岳部の顧問らが被告となった刑事裁判については「複雑です」と話す。
身につけた上着の胸と左腕には「ASSH」(雪崩事故防止研究会、札幌市)のロゴ。事故後に入会し啓発活動に関わる中、「7年間やってきたことが土台になりつつある」と感じる。
「事故のことを発信し、思い出してもらうこと、風化を防ぐことが存在意義」。今を生きる自分の役割を問い続けている。
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