石川県内に戻った西本真理さん(左)と長女瑠璃さん(右)、次女瑠那さん(中央)。市内で買ったハナカンザシもそばにある

 ことし元日の能登半島地震発生時から栃木県大田原市内の実家で娘2人と過ごしていた石川県珠洲市正院町、主婦西本真理(にしもとまり)さん(35)は4月、同県内に戻った。この3カ月、大田原で平穏な生活のありがたさをかみしめる半面、珠洲に残った夫を手助けできないもどかしさ、罪悪感は募った。石川でも元通りの暮らしからは程遠いが、好きな花の花言葉「変わらぬ思い」を胸に刻み、少しずつ歩みを進める。

 地震発生時、大田原に帰省していた西本さんは「娘たちを安全な場所に」と、そのままとどまった。半壊した珠洲の自宅には小学校教員の夫が残り、義母は県外に避難した。

 西本さんは大田原で過ごし、震災のショックが和らいだ。近所から大量の野菜をもらうなど、人の温かさに触れ、癒やされもした。長女瑠璃(るり)さん(7)は市野沢小へ、次女瑠那(るな)さん(4)はひかり幼稚園(山の手2丁目)へ通った。慣れない環境で休むこともあったが、頑張って行事にも参加した。友達も増えた。

 そんな中でも複雑な思いは増していった。

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