真岡市内で最初に目撃情報があった4月29日、上三川町上三川で目撃したという人もいた。
下野市本吉田、60代女性は4日、自宅近くで犬の散歩中、路上にいる動物を目撃。「ヤギでもないしウシでもない。カモシカだと思った。こちらに気付く様子もなかった」と振り返る。ニホンカモシカとみられる動物は、畑を移動して民家のある方へ去ったという。

目撃されたカモシカが、県東部の市町を行ったり来たりした様子がうかがえる。
どこから来た?
栃木県立博物館によると、ニホンカモシカは県内では北西部と西部の山地を中心に生息する。東部での生息確認は例がなく、目撃されること自体とても珍しいという。
ニホンカモシカの1頭当たりの年間の行動圏は約500メートル〜1キロとの研究結果もある。今回目撃されたカモシカについて、博物館の担当者は「距離的に県北西部や西部の生息地から来たとは考えにくい。鬼怒川沿いを移動してきたとしても、目撃された場所にたどり着くまでに人目に付かず移動できるのか…」と首をかしげた。

相次いで目撃されたカモシカは、同一の個体の可能性が高いが、どこから来たのかは不明という。
遭遇した場合は
博物館によると、ニホンカモシカはおとなしく、人に危害を与えることはほとんどない。しかし、子連れの親が子どもの危険を感じた場合などは、威嚇や攻撃をしてくることがないとは言えず、「遭遇した場合は、できる限り刺激せず、その場を去るのがよい」(担当者)。
県東部をさまよっていた一つの命。多くの人が何事もなく安心できる場所へ帰れるよう願っていたと思われるが、残念な結果となってしまった。
死骸は県立博物館が骨格標本にする。