【高根沢】町はこのほど、認知症になっても安心した暮らしを送るための一助にしてもらおうと、「認知症サポートガイドブック」を作製した。進行段階や状態に合わせて受けられる医療や介護、福祉サービスなどを記載。2千部を発行し、町健康福祉課や地域包括支援センター、もの忘れ相談センターに配布したほか、町ホームページに掲載している。
従来のガイドブックは、塩谷広域行政区2市2町を対象とする「認知症ケアパス」を活用していた。一方で、町内に特化した詳細な情報を望む声や、住民アンケートでの「町の認知症施策が伝わっていない」といった意見を踏まえ、高根沢版認知症ケアパス製作委員会が昨年6月に発足した。
委員会は認知症の地域支援推進委員をはじめ、地域包括支援センターやグループホーム、町社協の各職員計7人が6回にわたり内容を検討。町内の医師や薬剤師、訪問看護師らのアドバイスを取り入れながら、今年3月にガイドブックを完成させた。
特徴について、町健康福祉課の主任保健師でもある茂呂美佳(もろみか)委員長(33)は「まずは関心を持ってもらいたいと、病状の早期発見チェックリストを表紙に掲載した」と説明する。
中面には病状の進行に応じて「やっておきたいこと 決めておきたいこと」の内容を箇条書きで記載。「預貯金の管理・出し入れについてサポートできる制度がある。本人と相談しておきましょう」(14ページ)など、項目別に詳細な情報が書かれたページが分かるようになっている。
また、グループホームやデイサービスなどの利用を検討する人の不安材料を取り除くため、実際の生活の一部を写真で紹介。このほか、家族の対応例を4こま漫画で示すなど、分かりやすい内容を心がけた。
A4判カラー16ページ。無料。茂呂委員長は「町内で認知症の相談ができる『とちぎオレンジドクター』3人も発行のきっかけを与えてくれた。今後は町のインスタグラムでも紹介していきたい」と話している。