県内で今月中旬に真夏日を記録するなど梅雨の気配はどこへと思っていたら、気象庁が21日、関東甲信地方の梅雨入りを発表した。平年より14日遅く過去3番目の遅さとなった▼梅雨は、「梅の実の熟する頃の雨」から名付けられたという。湿度の高いじめじめとした天気は何ともうっとうしい。しかしこの時季だからこそ味わいたい魚がある。入梅イワシである▼6~7月の梅雨期に水揚げされるマイワシの総称で、梅雨イワシとも呼ばれる。カタクチイワシやウルメイワシもいるが、産卵前で丸々と太ったマイワシは一年の中で最も脂がのっている▼宇都宮市中央卸売市場水産物卸協同組合の大類均(おおるいひとし)専務理事(75)は「塩焼きやフライもうまいが、今なら刺し身がいい」と薦める。通常より体長がひと回り大きい20センチ以上の「大羽(おおば)イワシ」は、特に刺し身向きという▼大類専務理事によると、イワシに加えサバやアジも旬に入った。これらの青魚は血行を整えるエイコサペンタエン酸(EPA)や細胞を活性化させるドコサヘキサエン酸(DHA)が豊富といい、生活習慣病の予防にも効果があるとされる▼季節の変わり目に体調を崩す人は少なくない。最高気温が前日より大きく変化する日もある。栄養価の高い旬の食を楽しみつつ、早寝早起きなど規則正しい生活で乗り切りたい。