不妊外来の設置を予定している済生会宇都宮病院のフロア=6月下旬、宇都宮市竹林町

 不妊治療の裾野を広げようと、済生会宇都宮病院(宇都宮市竹林町)は8日から、治療に必要な機器を購入するためにクラウドファンディング(CF)を実施する。不妊外来を12月に立ち上げる予定で、寄付金は体外受精に必要な高度な顕微鏡や卵子を育てる補完機などの購入費用に充てる。目標は1千万円。

 CFの活用を考えた背景について、同病院の担当者は「資金集めだけではなく、不妊治療や病院の取り組みへの理解を広めたい」と説明。「新しい命の誕生と子どもを望む多くの家族の願いを実現するために協力してほしい」と呼びかける。

 同病院は新たな部門の設置に向け、母子医療センター内の病室の改修を進めている他、治療で胚(受精卵)を扱う医療専門職「胚培養士」を雇用し、配置する。体外受精での妊娠を年間に100症例程度目指す。

 同病院では、妊娠しやすい機会を探るタイミング法などで年に20症例ほどの不妊治療を行ってきた。不妊外来の開設と人工授精など生殖補助医療の導入によって、治療の選択肢の幅を広げる。総合病院として、周産期医療や出産、産後のフォローを産婦人科以外の科も含め行う考えだ。

 支援はCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で8日午前10時から募る。1口3千円~10万円。金額に応じて希望者には院内の名前掲示や感謝状贈呈といったお礼をする。9月30日まで。(問)同病院(経営支援課)028・626・5500。