脱サラ後、3代目に20種の栽培に奮闘
温暖で降水量が少ない栃木市の太平山南山麓は、ブドウ栽培に適しているといわれ、県内一の産地として知られています。その始まりは明治期。昭和に入ってからは生産者が増え続け、1973年には観光農園が集まり、ぶどう団地を形成。毎年シーズンになると、旬のブドウを求めて多くの人々が訪れます。
JAしもつけ管内の大平町ぶどう組合では、58人が栽培に携わっています。70年続く「立花園ぶどう園」を営む杉田祐介さんは、3代目。18年間自動車メーカーで働いた後、実家を継ぐことを決意しました。父にブドウ栽培の知識を学び、現在8年目。「無我夢中であっという間の歳月でした」と振り返ります。2カ月に1回ほど行われる同組合青年部の講習会にも積極的に参加し、先輩から芽かきや摘粒など栽培のノウハウを学んでいます。

約1万平方㍍のハウスと路地のブドウ農園で、シャインマスカットや巨峰、ピオーネなど20種類を栽培。昨年は年間3万房のブドウを収穫しました。昨年11月頃から枝の剪定や病害対策の消毒をスタート。2、3月には牛糞などの肥料を施し、GW明けには実の色づきを良くし、大きくするための摘芯や摘粒、防虫対策の袋かけを行うなど、収穫前の忙しい時季を迎えています。特に実の日当たり加減を調節する摘芯は、経験と勘がものを言う難しい作業だそう。今年は天候にも恵まれ、「最高の収穫が期待できる」と期待しています。

直販と食べ放題でにぎわうシーズン
毎年、7月20日頃から観光農園がオープンすると、直販のブドウを求めて、待ちかねたようにお客さんが来園します。園ではこの時季、家族と親戚の6人で協力し、収穫と販売にあたります。収穫は朝4時半から7時まで。取れたてのブドウは、シーズンが終わる9月下旬頃まで店先に並びます。

人気のシャインマスカットは7月下旬には登場。お盆の時季は品種が一番そろい贈答用も需要があることから、お客さんの数はピークを迎えます。8月に入ってからは、巨峰の食べ放題(30分2000円、時季により異なる)も行っており、人気です。「お客さんが喜ぶ顔を直接見られるのは、やりがいにつながる。昨年からシャインマスカットの食べ放題も始めました。ニーズに応え、どんどん立派なブドウ園にしていきたい」と夢が膨らみます。お問い合わせはJAしもつけ南部アグリサポートセンター☎0282・43・0800。