再選を果たし万歳する浅野正富氏(中央)=21日午後11時20分、小山市東城南4丁目

 任期満了に伴う小山市長選は21日、投開票が行われ、無所属の現職浅野正富(あさのまさとみ)氏(67)が、無所属新人小川亘(おがわわたる)氏(56)を8714票差で退け、再選を果たした。浅野氏は市民のよりよい暮らし「ウェルビーイング」実現を基本理念に「田園環境都市のまちづくり」継続や市民との共創などを訴え、一騎打ちを制した。小川氏は中心市街地活性化の加速などを訴えたが及ばなかった。投票率は38・42%で前回の44・72%を6・30ポイント下回り、過去2番目の低さとなった。

 行政手法やまちづくりの在り方を巡り、浅野氏の1期4年に対する評価が争点だった。ただ、「多選の是非」が争点となった4年前の前回選挙戦に比べ、市民の関心は高まらなかった。

 浅野氏は現職として目立った失政が見られない中、知名度を生かして終始優位に選挙戦を展開した。1月の立候補表明以降、「無投票ムードが漂い陣営に緩みがあった」(選対幹部)というが、選挙戦が確実となった5月下旬以降は立憲民主党の藤岡隆雄(ふじおかたかお)衆院議員の後援会が陣営をけん引。中屋大(なかやだい)県議や市議6人、連合栃木の支援を受けて基礎票を固めた。

 小川氏は「この4年間で市政が停滞した」と批判し、市議27人中、自民・公明系の20人から支援を受けて選挙戦に臨んだ。だが、出馬表明の遅れによる知名度不足は解消できなかった。

 同市東城南4丁目の浅野氏の選挙事務所では午後11時15分過ぎ、当選確実の一報とともに集まった支持者の歓喜の声が響き渡った。

 浅野氏は「市民の力、良識をしっかりと示すことができた。市民が主役のまちづくりを、これからの4年間、みんなでやりましょう」と力を込めた。

 一方、小川氏は同市神鳥谷(ひととのや)の選挙事務所に集まった支持者を前に「毎日毎日、皆さまにはお世話になりましたが、私の力不足。本当に申し訳ありませんでした」と敗戦の弁を述べた。

 【浅野正富氏の略歴】小山市長1期。弁護士。NPO法人ラムサール・ネットワーク日本理事。早稲田大卒。同市乙女1丁目。