関東甲信などで梅雨明けし、子どもたちにとって待ちに待った夏休みが始まった。夏と言えば海だが、栃木県は全国に8県しかない「海なし県」の一つ。県民の皆さんはいったいどこの海へ行くのか。下野新聞社は26日までに、LINE公式アカウント「とちぽ」などを通じてアンケートを実施した。計1677人から回答があり、最も多かったのはやはり大洗をはじめとする茨城県だった。他の追随を許さない結果となったが、2位以下に驚く人もいるのでは。回答者の居住地によっても傾向に違いが表れた。

大洗サンビーチ海水浴場=2014年
大洗サンビーチ海水浴場=2014年

 アンケートは7月11~22日、「とちぽ」と「あなた発 とちぎ特命取材班(あなとち)」のLINE公式アカウント、X(旧ツイッター)などの交流サイト(SNS)で実施した。

 ずばり「夏と言えば、どこの海へ行きますか」との設問ではまず、都道府県を一つ選んでもらった。

 最多はお隣「茨城県」(1040人)で、全体の6割超を占めた。そのうち半数超が、具体的な地名やスポット名に「大洗」を挙げた。南北約1.3キロにわたる海水浴場「大洗サンビーチ」や、日本一のサメの飼育種類数を誇る巨大水族館「アクアワールド茨城県大洗水族館」など、大洗に一度は行ったことがある人は多いだろう。

 何より大洗は北関東自動車道(北関東道)宇都宮上三川インターチェンジ(IC)から車で約1時間と、アクセスしやすい。大洗だけでなく、「阿字ケ浦」や「那珂湊」を挙げる人も目立ち、茨城県は「近いから」「行きやすい」といった理由が多かった。

■2位は関東を飛び出して…

 茨城県に次いで多かったのはなんと「新潟県」(75人)。具体的な地名・スポット名として挙がったのは、遠浅の広い海岸で魚市場も有名な「寺泊」(長岡市)や、温泉街が近くにある「瀬波」(村上市)、日本屈指の透明度を誇るという「笹川流れ」(村上市)などだった。

 新潟県の次は「沖縄県」(63人)。「水がきれい」など、海の美しさや透明度を評価する声が多かった。具体的な地名・スポットは「石垣島」や「宮古島」が上位に並んだ。

 僅差で続いたのは「福島県」(62人)。「勿来」や「いわき」などが挙がった。

 一方、「海に行かない」と答えた人も、全体の約18%にあたる298人いた。

■地域によって違う行き先

 「どこの海に行くか」を回答者の居住地別で比べてみた。

 県北、県央、県南のいずれの市町の人も、圧倒的に多かったのは茨城県だった。違いが表れたのは2位以降。例えば、宇都宮市の回答者(582人)の2位は沖縄県(23人)で、新潟県(15人)と、神奈川県(15人)が3位となった。

 一方、日光市(67人)、小山市(77人)、足利市・佐野市(計75人)の人で2番目に多かったのはいずれも新潟県だった。特に足利市・佐野市と日光市の人は約13%が新潟と答えており、全体平均(約4%)を大きく上回った。

 福島県が2番目に多かったのは那須塩原市・大田原市・那須町の人(計194人)。福島の次が新潟県だった。

 北関東道や東北自動車道を使ってアクセスしやすい海へ行く人が多いのかもしれない。

■泳ぐよりも、ゆったりしたい?

 「海に行ったら何をしますか?」の設問(複数回答)では、「景色を眺める」(914人)が最多。次いで「海水浴」(822人)、「海鮮などのグルメを楽しむ」(729人)と続き、「潮干狩り」「釣り」も一定の支持を集めた。

 連日、うだるような暑さが続く。「海なし県」民にとって、日常を離れてゆったりと過ごせる場所の一つが海。熱中症や水難事故などの安全対策に十分気を付けて、地元では味わえない夏のひとときを満喫してほしい。

 ※アンケートは多様な声を聞き取ることが目的です。無作為抽出による統計的な方法で民意の傾向を把握するための世論調査とは異なります。