知名度に勝る見形和久(みかたかずひさ)氏が組織力を発揮し、地力をみせて4選を果たした。
見形氏は昨年12月、早々と立候補を表明。対立候補が名乗りを上げた5月まで、無投票の可能性も取り沙汰された。見形氏陣営には当初、楽観ムードも漂ったが、町長選初の女性候補に対して「有権者の反応が読めない」と警戒し、最後まで手綱を緩めなかったことが勝利を呼び込んだ。
一方、鈴木恵美(すずきえみ)氏は出遅れが最後まで響いた。後援会事務所の開所は見形氏より2週間以上早かった。ただ組織の態勢固めに時間を要した。懸命に政策を訴えて知名度アップに努め追い上げたが、及ばなかった。
選挙戦は総じて低調だった。告示前、両陣営から「動きが見えない」「これまでになく静か」との声が漏れた。目立った争点がなく、両陣営とも組織構成は高齢者層中心。現職派と、現職に距離を置く一派の争いの延長とみて、静観に回った有権者もいたとみられる。
各候補が訴えた少子高齢化対策は待ったなしだ。町の高齢化率は40%超、昨年度の出生数はわずか22人と深刻さを増している。見形氏は批判にも耳を傾け、山積する課題解決へ速度を速めた対応が求められる。