宇都宮市と芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)が8月26日、開業1周年を迎える。全国初の全線新設路線で、世界各国から視察も相次ぐLRT。まだまだ注目度が高い中、読者の皆さんは実際どれくらい乗車したのか。下野新聞社は23日までに、LINE公式アカウント「とちぽ」などを通じてアンケートを実施した。乗車した人の割合や利用者の多い停留場など、皆さんは結果をどう予想しますか?

次世代型路面電車(LRT)
次世代型路面電車(LRT)

 アンケートは8月2~19日、「とちぽ」と「あなた発 とちぎ特命取材班(あなとち)」のLINE公式アカウントなどの交流サイト(SNS)で実施し、計1292人から回答を得た。回答者の職業は「会社員」が384人(30・9%)で最も多く、「パート・アルバイト」が278人(22・4%)、「主婦(夫)」が181人(14・6%)と続いた。

 まず気になるのが、LRTに乗車したかどうか。「LRTに乗った」と回答したのは557人で、全体の43・1%だった。回数を選択してもらったところ、最多は「1回」の256人(46・0%)。次いで「2~5回」が242人(43・4%)と、1~5回が9割近くを占めた。

 「乗った」と回答した人に利用した主な目的を尋ねたところ、最多は「一度乗ってみたかった」の246人(44・2%)だった。ほかに「買い物や遊びに行くため」が183人(32・9%)、観光35人(6・3%)、スポーツ観戦32人(5・8%)。「通勤・通学」と答えた人は今回は15人(2・7%)にとどまった。

 「一度乗ってみたかった」と回答した人の乗車回数は文字通り「1回」が最も多かった。一方、「買い物や遊びに行くため」と答えた人の乗車回数は「2~5回」が多かった。

 利用した停留場を尋ねたところ(複数回答)、トップはやはり「宇都宮駅東口」で398人。次点は「宇都宮大学陽東キャンパス(ベルモール前)」の231人で、買い物や遊びに行く人が多く利用したとみられる。

 注目は3位。宇都宮駅東口から最も遠い停留場「芳賀・高根沢工業団地」が100人いた。今回は「通勤・通学」を目的に乗車した人が多くなかったことを踏まえると、LRT全線を楽しんだ人が多かったことがうかがえる。

 僅差で4位となったのが「かしの森公園前」(92人)、5位は清原球場や清原体育館にも近い「清原地区市民センター前」(81人)だった。「全て」と回答した“強者”も8人いた。

 LRTの魅力(複数回答)については、「乗り心地がよい」が366人で最も多かった。「乗り降りがしやすい」が275人、「車両のデザインがいい」が260人だった。「その他」として自由記述してもらったところ、「欧州の雰囲気を味わえるから」「車とは違った景色が新鮮だった」などの声が挙がった。

 一方、乗車回数が「0回」と答えたのは735人。主な理由を尋ねると、最も多かったのは「LRT沿線に住んでいない」の312人(42・4%)。回答者のほぼ半数となる49・3%が、LRTが通る宇都宮市と芳賀町以外に住んでおり、物理的な距離はいかんともしがたかったようだ。続いて「興味はあるが乗る機会がない」が246人(33・5%)で、関心のある人も一定数いることがうかがえる。

 今後のLRTに期待すること(複数回答)は、「宇都宮駅西側への延伸」が601人で最多。車との接触事故が発生したためか、「自動車などとの交通事故防止対策」が453人、「路線バスとの接続の向上」が381人だった。

 「その他」に期待することとして、西側だけでなく「南北や東への延伸」を求める意見や、「停留場近くに駐車場を増やす(作る)こと」が複数挙がった。魅力的な目的地となるよう停留場周辺に新規出店などを希望する声もあった一方、「沿線に住んでいないとなかなか使うことができない」という指摘や、さらなる延伸に慎重な意見もあった。

 開業1周年ではおおむね好意的な意見が多かったLRT。これからどんな飛躍を遂げるのか注目される。

 ※アンケートは多様な声を聞き取ることが目的です。無作為抽出による統計的な方法で民意の傾向を把握するための世論調査とは異なります。