【佐野】足尾銅山鉱毒事件の被害者救済に力を尽くした市出身の田中正造(たなかしょうぞう)の112回忌とカツ子(こ)夫人の89回忌の法要が1日、小中町の浄蓮寺で営まれた。
正造は晩年、生家の土地や建物を若者の教育などに活用してもらいたいと小中町に寄付した。その維持管理などを担う「小中農教倶楽部(くらぶ)」が毎年この時期に、田中家の菩提(ぼだい)寺である同寺で法要を行っている。
法要には同倶楽部の役員ら約25人が参列。同寺の中井龍尊(なかいりゅうそん)住職(80)の読経や焼香が行われ、厳かな空気の中、出席者は田中夫婦の遺徳をしのんだ。その後、同町の正造誕生地墓所に行き、線香を上げた。
同倶楽部の萩原政夫(はぎわらまさお)代表理事は「地球温暖化が進み、異常気象も増えている。改めて今後も環境や人権問題など、正造が命がけで訴えてきた遺徳を伝えていきたい」と話した。